根の研究
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根の伸長角度が異なるコムギ実験系統群の不耕起圃場における収量性
小柳 敦史乙部(桐渕) 千雅子柳澤 貴司三浦 重典小林 浩幸久保 堅司
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2007 年 16 巻 1 号 p. 5-11

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抄録
根の伸長角度が浅い浅根性のコムギ9系統 (浅根群) 及びその姉妹系統である深根性のコムギ9系統 (深根群) を長期不耕起圃場, 短期不耕起圃場及び耕起圃場で栽培した. 3作期にわたり施肥及び播種時期を変えた15試験区で子実収量を調べた結果, 長期不耕起圃場では6試験区中, 4試験区で浅根群のほうが明らかに収量が多かった. これに対し, 短期不耕起圃場の2試験区及び耕起圃場の7試験区ではいずれも浅根群と深根群に有意な収量差がみられなかった. このことから, 長期不耕起圃場では浅根性の系統のほうが収量性が優れると思われた. この原因は長期不耕起圃場では土壌水分が安定して高く, 土壌の浅い層に窒素やリン酸が多いためではないかと推測されたが, このような土壌の特徴は短期不耕起圃場にもみられるため, 他の原因があることも考えられる. なお, この研究では圃場における根の分布の調査は行なわなかったが, 種子根の伸長角度の測定結果から, 不耕起圃場でも浅根群の系統は浅い根系を作り, 深根群の系統は深い根系を作っていたものと考えられた.
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