日本リモートセンシング学会誌
Online ISSN : 1883-1184
Print ISSN : 0289-7911
ISSN-L : 0289-7911
アイスレーダによる南極大陸氷の観測
棚氷下面の物理的状況の推定
浦塚 清峰西尾 文彦
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 10 巻 4 号 p. 585-589

詳細
抄録

南極大陸を覆う氷床に関する物理的性質を解く手がかりの一つとして,航空機搭載アイスレーダによって求められた棚氷下部の散乱特性について報告した。
棚氷の底面では融解,凍結といった氷と海水の相互作用が起きていると推定されているが,その計測は今まではボーリングによる直接的な観測しかなかった。
この海水との相互作用により棚氷の質量収支モデルが立てられているが棚氷底面での相互作用のプロセスが棚氷の質量収支にどの様にどの程度寄与しているかは現在のところよくわかっていない。
本方法より棚氷の底面の粗さが棚氷の場所によって異なることが間接的に求められたが,棚氷の底面の粗さはこうしたプロセスの結果と考えることができ,棚氷の質量収支のモデルを完成するのに大きなヒントを与えることが期待される。

著者関連情報
© 社団法人 日本リモートセンシング学会
前の記事 次の記事
feedback
Top