主催: 日本地球化学会年会要旨集
炭層起源炭化水素ガスの安定炭素同位体比(δ13C)は,石炭の熱クラッキング(熱熟成)が進行するにつれて増大する.炭層起源炭化水素ガスの(δ13C値と石炭の熟成指標(例 ビトリナイト反射率VR%)の関係が明らかになれば,貯留岩に集積した炭層起源炭化水素ガスのδ13C値から,ガス排出時の炭層の熟成度を推測出来る.炭層の熟成度は反応速度論的に変化するが,当該地域のおおよその熱史や埋没史がわかれば,炭層の熟成度から炭化水素ガス排出時の温度や深度を推定出来る.そのため,多くの開放系・閉鎖系熱分解実験が行われてきた.しかし,炭層からの炭化水素ガス排出は,開放系と閉鎖系の間で生じている.本研究では,閉鎖系と準開放系での熱分解実験を行い,それぞれの場合の炭化水素ガスの(δ13C値の変化とVRとの関係を明らかにし,石炭起源炭化水素ガスの排出温度を推定する方法を提案した.