日本リモートセンシング学会誌
Online ISSN : 1883-1184
Print ISSN : 0289-7911
ISSN-L : 0289-7911
遺伝的アルゴルズムを導入した衛星マルチスペクトル画像の特徴強調
大林 成行小島 尚人F.Chung Chang-Jo
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 18 巻 4 号 p. 330-343

詳細
抄録
本研究は,衛星マルチスペクトルデータから得られる画像特徴の判読支援を目的として,遺伝的アルゴリズムを導入した画像特徴・強調処理手法を開発し,その適用性について検討したものである。コントラスト,エッジ情報等の画像特徴は,土地被覆状態,線構造,地形形状等を判読し,分析する際の支援情報として多用されている。しかし,処理後の画像(以下,特徴画像)では,元画像に比べて情報量が減少するために,特徴画像をカラー映像表示装置上に表示する際の強調処理(コントラストストレッチ処理等)効果が十分に得られない場合がある。そこで,本研究では,遺伝的アルゴリズムを用いて画像全体のエントロピー(適応度関数)を増加させ,特徴画像そのものの情報量を増加させるとともに,画質を向上させる方法を提案した。本研究の成果は,次の3点に要約できる。
1)特徴画像のエントロピーを増加させる上で,本研究で設計したアルゴリズムに基づく遺伝的操作は有効に機能することが判った。
2)提案手法を適用した処理画像は,従来の特徴画像に比べて「画質」および「情報量」の両面において向上しており,画像解釈における支援情報として有用性の高いことが確認された。
3)さらに,提案手法は,コントラスト画像,標準偏差画像,エッジ強調画像といった種々の特徴画像に対する適用効果が確認され,汎用化への指針も得られた。
著者関連情報
© 社団法人 日本リモートセンシング学会
前の記事 次の記事
feedback
Top