日本リモートセンシング学会誌
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宇宙から観測された全球雷放電頻度
櫻井 俊輔牛尾 知雄岡本 謙一
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2003 年 23 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

本研究では,1998年3月から2000年2月までのOTD及びLISのデータを用いて,経度5°×緯度5°ごとの雷放電数と観測時間を3ケ月間ごとに積算し,雷放電数を観測時間で除算することによって全球雷放電頻度分布を作成した.緯度±35°内の熱帯・中緯度地域はLISから雷放電頻度を評価し,緯度±35°以上の高緯度地域についてはOTDから推測した。
その結果,経度5゜×緯度5゜ごとの雷放電頻度を積算することによって,全地球上で47.9 flashes/secondという平均頻度が得られた.またLISとOTDの同時間・同地域のデータからLISとOTDの関係を調べた.1998年と1999年の2年間にわたる季節ごとのFlash Rateの結果から,LISはOTDよりも検知効率が高く,OTDより平均約1.5倍の雷を検知し,平均でLISとOTDの雷放電頻度の関係式は「LIS=OTD×1.53」と評価できた.これにより,LISに対するOTDの検知効率は平均で66%とわかった.また,LISとOTDの相関係数より2つの観測装置には強い相関があることがわかり,OTDのデータを用いてLISの検知効率に相当する地球全体の雷分布を予測することができた.北半球の夏季には高緯度の寄与が大きく,最大で地球全体の約29%の雷放電が高緯度地域で予測された.

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