砂防学会誌
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砂防堰堤用コンクリートの突砕き摩耗に関する実験的研究(I)
堀内 照夫
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1981 年 33 巻 4 号 p. 10-21

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抄録

コンクリート製砂防堰堤の水通し天端,下流法面,水叩工は流送される砂礫によってすりへり損食を受けている。このなかで,外力が構造物の面に平行に作用するすり磨き摩耗については研究されているが,垂直に作用する突砕き摩耗については研究が行なわれていない。そこで,突砕き作用を再現させる試験装置を試作して実験を行ない,突砕き摩耗の機構の解明と同時に,コンクリートの配合,施工法,骨材の粒径とコンクリートの突砕ぎ摩耗との関係を検討した。結果は次のように要約される。
(1)コンクリートが突砕き作用によって進行する摩耗はいわゆる処女面摩耗である。
(2)突砕き摩耗試験とロスアンゼルス試験機によりすりへり減量試験の結果は相関関係が高く,後者は従来,コンクリートのすりへり試験法として適当でないとされてきたが,突砕き摩耗を受けるコンクリートの耐摩耗性を試験する方法として適用できる。
(3)突砕き作用に対するコンクリートの耐摩耗性は,材令10~14日でほぼ最大に達し,セメント量を細骨材量の0.4~0.5の範囲内にする,水・セメント比を滅少させる,粒度を小さくする,十分な締固めをすることによって増大させることができる。
(4)一般に使用されているコンクリートの突砕き作用に対する耐摩耗性は圧縮強度で評価される。

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