1982 年 21 巻 6 号 p. 354-358
我国における建築物の耐震設計は,世界に先がけて1924年紅震度法が法制化され実施されてきた.これは,建物にその重量に比例した静的外力を地震時に作用するヵに相当するものとして与えることにより,建物にある程度以上の抵抗力をもたせようというものである.その後,地震波の観測や建物の弾塑性解析等の諸データを用いて動的解析が行なわれるようになり超高層建物設計に利用されるようになった、これらの知見を踏まえて1981年に建築基準法施行令の改定が行なわれ,設計用地震荷重をせん断力係数で表示すると共に変形制限・保有水平耐力の確認等の規定が設けられ,中小地震とまれに発生する大地震との2段階の検討が義務付けられるようになった.また,建物内部に設置される設備機器についても,その耐震性を確保すべく耐震基準が公表されている.