安全工学
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64 巻, 5 号
安全工学_2025_5
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 田中 和美
    2025 年64 巻5 号 p. 295-301
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/10/15
    ジャーナル 認証あり

    医療の高度化と複雑化に伴い , 医療安全の確保は重要な課題である . 医療事故の背景には , 個人の技術 不足のみならず , 組織文化や教育体制の脆弱さが指摘されており , 安全文化の醸成が不可欠である . 本稿 では , 国内外の医療安全の現状と課題を整理し , 安全文化の概念と教育の役割について概説した . さら に , 卒前・卒後教育における現状と課題を示し , 群馬大学における取り組みを紹介した . 群馬大学では , 体系的な卒前教育 , 研修医への SES 研修 ,e ラーニングを活用した現職者教育 , 事例分析や多職種シミュ レーションなど特色ある教育が行われており ,2023 年には医療安全教育手法に基づく多職種人材育成共 同利用拠点として PSEC が設置された . 教育は知識や技能の習得にとどまらず , 安全を最優先とする価値 観の共有と行動変容を促す基盤であり , 今後もその充実が求められる .

  • JR 西日本安全研究所の取組み
    和田 一成
    2025 年64 巻5 号 p. 302-308
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/10/15
    ジャーナル 認証あり

    安全研究所は ,JR 西日本において , ヒューマンファクターに特化した安全研究を行う部門として 2006 年に設立された . 主な活動としてはヒューマンファクターに関する教育と研究を行っている . 本稿では , これまでの安全研究所の代表的な研究を , ヒューマンエラーの発生に関する研究 , 集団で問題となる ヒューマンファクターに関する研究 , 旅客のリスク行動に関する研究の三つに分類して紹介した . これら はそれぞれ , 適用の場面も違い , 研究手法にも違いがある . 安全研究所では , このように , 様々な場面へ の適用可能性という実用性を意識しながらも , 研究の専門性 , つまり客観性や公正性の確保も重視してい る . 今後も , この姿勢を保ち , 鉄道の安全性向上に貢献する研究を続けていきたい .

  • 三浦 貴洋, 鈴木 延明, 岩山 勇人, 道祖 英一
    2025 年64 巻5 号 p. 309-315
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/10/15
    ジャーナル 認証あり

    相模原市では , 令和 6 年 9 月 19 日に市発注の公共下水道工事において , 局地的大雨による下水道管内 の増水により作業員 2 名が流される死亡事故が発生したことから , 当該事故を踏まえた公共工事の安全対 策を検討することを目的として , 学識経験者等から構成する「下水道工事での事故を踏まえた公共工事の 安全対策検討委員会」を設置し , 同年 12 月 26 日に「下水道工事での事故を踏まえた公共工事の安全対策 報告書 ( 中間とりまとめ ) 」を公表した . また , 工事等の受注者の安全意識の向上を図るために「局地的 な大雨に対する安全対策共通特記仕様書」を改定し , 同種事故の再発防止の取組を進めている .

  • 鈴木 健
    2025 年64 巻5 号 p. 316-319
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/10/15
    ジャーナル 認証あり

    理科実験では , 様々な化学物質を取り扱う . その中には可燃性物質が含まれるため , 火災 , 爆発が発生 し , 施設等が焼損 , 破損することがある . 加熱などの操作を行うために , 裸火 , 加熱器具などを使用する ため , 火災 , 爆発 , 高温物体との接触などによって火傷などの負傷を負うことがある . また , 理科実験で 取り扱う化学物質の中には , 毒性のあるものがある . 化学反応によって , 毒性のある化学物質が生成する ことがある . それらの化学物質に暴露されて体調不良になり , 救急搬送されることもある . 火災 , 爆発 , 負傷 , 体調不良などの発生防止 , それらが発生した際の再発防止などに役立てるため , 理科実験が関係し た火災 , 爆発などの事例とその対策を示す .

論文
  • 本田 尚, 山口 篤志, 佐々木 哲也
    2025 年64 巻5 号 p. 320-326
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/10/15
    ジャーナル フリー

    クレーンに使用されるワイヤロープが破断し , 作業者が被災する例が後を絶たない . この原因として , ワイヤロープの寿命に疲労が十分に考慮されていないことが挙げられる . そこで , 本研究は , クレーンに 使用されるワイヤロープの疲労寿命の評価方法と , 疲労寿命に影響する因子について検討した . その結 果 , ワイヤロープが破断までにシーブ ( 滑車 ) を通過する回数を疲労寿命とすると , 疲労寿命の対数と張 力を公称断面積で除した平均応力の関係は直線で近似でき , その傾斜はワイヤロープの種類にのみ依存 し , 試験条件にほとんど影響されないことを明らかにした . また , 寸法効果の影響を調査するため直径の 異なるワイヤロープの疲労試験を行ったところ , 平均応力 - 疲労寿命直線がほぼ一致し , 今回実験した公 称径の範囲内ではワイヤロープには寸法効果が現れないことを示した .

  • 長田 裕生, 鈴木 輝夫, 崔 光石
    2025 年64 巻5 号 p. 327-333
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/10/15
    ジャーナル フリー

    本研究は , 接地針電極を用いて , 薄い帯電物体 ( フィルム ) に横から接近して発生する沿面放電の特性 を検討した . 結果によると , 厚みが 0.025 ~ 0.350 mm の帯電物体と , 曲率半径 0.075 ~ 3.00 mm の接地 針電極との間に 1 mm のギャップがあると , 沿面放電が発生することが確認された . また , 帯電物体の表 面電位が高くなるにつれて電荷量は増加する傾向を示したが , その増加率は帯電物体の厚みが大きくなる ほど小さくなった . これは , 接地球電極を使用した場合に発生する沿面放電と同様の特性を示しているこ とが分かった . さらに , 帯電物体の厚みを一定にした場合 , 接地針電極の曲率半径が異なっても , 各表面 電位における放電電荷量はほぼ一定であった . このことから , 帯電物体内の電界は接地針電極先端の曲率 半径にほとんど影響を与えないことが考えられる .

  • ガス検知管 ,PID センサ , 半導体センサの比較
    福岡 荘尚
    2025 年64 巻5 号 p. 334-341
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/10/15
    ジャーナル フリー

    労働安全衛生規則の一部の改正により , 皮膚等障害化学物質が示され不浸透性の保護具の着用が義務化 されたが , 対象物質の中には , 化学防護手袋メーカが公開しているデータには使用可能時間が示されてい ない物質が多く存在し , 混合物の耐透過性データは公開されていない . 厚生労働省の皮膚障害等防止用保 護具の選定マニュアルには , 混合物取り扱い時の対応方法が示されているが , 必ずしも容易に選定できる 状況にはなっていない . そこで , 本研究ではニトリル / ネオプレンゴム製の化学防護手袋使用者などが簡易 透過測定を容易に行えるようにするために , ガス検知管 ,PID センサ , 半導体センサを用いた簡易透過測定 の結果とメーカデータを比較した . いずれの検出方法でも透過開始時間は , 化学防護手袋メーカデータよ り短い時間となった . 加えて , 適切な簡易測定の方法を検討できるように各測定方法の特徴をまとめた .

  • 系統的文献レビューに基づく考察
    楊 涵, 馮 暁東, 張 坤, 山形 浩史
    2025 年64 巻5 号 p. 342-355
    発行日: 2025/10/15
    公開日: 2025/10/15
    ジャーナル フリー

    建設業における墜落事故は最も深刻かつ頻発する事故タイプである . 事故要素間の相互関係の分析は事 故防止に有効であるが , 事故要素間の相互関係に対する十分な考察がなされていない . 本研究では ,1997 年から 2024 年の 50 本の論文を対象に系統的文献レビューを実施し , 各事故要素の整理・分類と相互関係 の可視化を行った . その結果では , 「発生場所」「安全防護」「傷害源」と「負傷結果」など入手やすい事故要素間の相互関 係が主に議論されている . 一方で , 「事業場規模」「工事費」「墜落高さ」など入手しにくい事故要素間の 相互関係は十分に実証されていない . 本研究は , 多くの研究者が現在の研究の現状を把握するとともに , 研究の重複を回避し , 単一研究の結果に基づく偏った認識や誤解を防ぎ , 今後の研究の方向性と優先課題 を示すことに貢献する .

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