安全工学
Online ISSN : 2424-0656
Print ISSN : 0570-4480
ISSN-L : 0570-4480
最新号
安全工学_2024_3
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 安田 進
    2024 年 63 巻 3 号 p. 132-135
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/06/15
    ジャーナル 認証あり

    2024 年能登半島地震では広い範囲で地盤の液状化が発生し構造物に被害を与えた . 特に , 内灘町や新 潟市の砂丘内陸側縁辺部では , 液状化しただけでなく緩やかな傾斜地盤が水平方向に流れ出す側方流動が 発生し , 被害を深刻なものした . 住宅は押し出され大きく変形し , 道路は盛り上がって路面が傾斜した . まだ復旧工事前で不明であるが , ライフラインにも甚大な被害が発生していると考えられる . このような 液状化した地盤の水平方向の流動は ,1995 年阪神・淡路大震災の際にも多く発生していた . ただし , こ の場合は埋立地や人工島の岸壁・護岸が海に向かって孕み出し , 背後地盤が奥行 100 m 程度の範囲で流 れだしたタイプのもので , 工場施設や橋梁 , 建物に甚大な被害をもたらしていた . このような地盤の流動 に対する設計方法の確立 , 対策技術の開発が今後さらに必要と考えられる .

  • 野口 和彦
    2024 年 63 巻 3 号 p. 136-139
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/06/15
    ジャーナル 認証あり

    社会や技術が大きく変化する状況下では , 発生する影響もその許容性も守るべき安全の構造も変化す る . 安全な職場や社会を創り上げるためには , 安全を脅かす新たな可能性を知り安全を確保するために必 要な対策を知る必要がある . 本論では , まず , 技術の変化としてカーボンニュートラル施策に関する技術 や DX 施策の技術がもたらす安全への影響を , 社会の変化として自然災害の激甚化や少子高齢社会の到来 がもたらす安全への影響を整理した . 次に , 工学システムに関する安全の捉え方の変化を論じた . さら に , その対応の仕組みとして組織における経営と現場の役割と必要な安全手法について整理した .

  • 林 秀樹
    2024 年 63 巻 3 号 p. 140-143
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/06/15
    ジャーナル 認証あり

    平成 24 年 9 月 29 日 ( 土曜日 )14 時 33 分 , 兵庫県姫路市の ( 株 ) 日本触媒 姫路製造所 アクリル酸製 造プラントにおいて爆発火災事故が発生した . 本件事故では , 事故の対応にあたっていた姫路市消防局の 隊員のうち 1 名が殉職 ,24 名が負傷し , そのほか , 警察官 2 名 , 及び従業員 10 名が負傷 , 多数の人的被 害が発生した . 二度とこのような事故を発生させてはならないという強い決意のもと , そのために何ができるのか , 姫 路市消防局と姫路臨海地区防災協議会が協同し , ともに安全を実現するために築き上げてきた取り組みに ついて紹介する .

  • 岡本 勝弘
    2024 年 63 巻 3 号 p. 144-147
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/06/15
    ジャーナル 認証あり

    2021 年 10 月に走行中の京王線列車内で発生したライター用オイル使用の放火事件の例に見られるよう に , 放火事件の燃焼促進剤に自動車用ガソリン以外の石油系液体可燃物が使用されるケースが散見され る . これらの石油系液体可燃物の多くは , 消防法危険物第 4 類第一石油類に指定されており , 放火に使用 された場合には , その高い燃焼作用によって , 甚大な損害を引き起こすことが予想される . 本稿では , 石 油系液体可燃物のうち , ライター用オイルに焦点を絞り , これまでに実験的に収集してきたライター用オ イルの危険性評価に有用な情報について , 放火事件における代表的な燃焼促進剤である自動車用ガソリン の火災危険性と比較しながら紹介する .

  • 板宮 裕実, 笠松 正昭
    2024 年 63 巻 3 号 p. 148-147
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/06/15
    ジャーナル 認証あり

    火災や爆発 , 環境汚染などの産業災害の発生原因は , 構造物や材料などの物性の変化だけでなく , 構成 成分の変性や微量成分の混入など , 化学種に起因する場合がある . また , 排出物の管理といった安全対策 を講じる上でも , 有害物質の挙動や汚染状況の把握に化学的知見が必要となる . 本総説では , 安全工学分 野における問題解決に利用される化学分析法のうち , 元素分析の例として蛍光 X 線分析法と誘導結合プ ラズマ質量分析法 , 化学結合様式や価数など化合物の状態を分析する手法として赤外分光法とラマン分光 法 , 分子構造や結晶構造の解析法として X 線回折法について , 国内の先行研究を挙げながら紹介する .

  • 第 1 回 平成の事故におけるリスクアセスメントの現状と課題
    (一社)日本化学工業協会保安事故防止検討ワーキンググループ
    2024 年 63 巻 3 号 p. 152-161
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/06/15
    ジャーナル 認証あり

    平成の重大事故を振り返るとリスクアセスメント (RA) が有効に機能していたとはいい難いのが実情 である . 2017 年に潤滑油精製設備で配管更新後の腐食が急速に進み火災事故が起きた . 同材質・同寸法の設備 更新は同種変更と評価されたが , そこにリスクがあった . 日本化学工業協会保安事故防止ワーキンググループは , この事故を事例に ,RA における人材育成 , 経 営層のコミットメント , 変更管理 , 致命的な事故を防ぐためのリスク評価方式とリスク低減への考え方 , ICT 技術等の課題について検討を重ねた . 従来 ,RA は , ステップ 1 「人で防ぐ」 , ステップ 2 「仕組みで防ぐ」を確実に実施することにより安全 が確保できると考えてきたが , 変更管理における同種変更リスク , 新たな技術開発における未知のリスク に対応するには , ステップ 3 「点検・保全で防ぐ」を加えること , すなわち RA 実施後のフォローを充実 することが重要であると提言する .

論文
  • 福岡 荘尚
    2024 年 63 巻 3 号 p. 162-168
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/06/15
    ジャーナル フリー

    皮膚等障害化学物質を取り扱う場合に不浸透性の保護具の着用が義務化されたが , 化学防護手袋 ( 以 降 , 手袋と呼ぶ ) メーカのデータに使用可能時間が示されていない物質が多く存在する . そこで , リアル タイムモニタのセンサ部に嵌める測定ジグ ( 手袋を挟み込み , 手袋の上に被験溶液を載せる ) を作製し , 手袋の簡易耐透過性測定の可否を検討した . 手袋は , 複数のゴム素材 , 複数のフィルム素材を用い , 溶剤 は , アセトン , 混合溶剤 ( アセトン /n- ヘキサン ,2- プロパノール / トルエン ) を用いた . 手袋を透過 した溶剤蒸気の信号強度の経時変化から , 手袋の耐透過性評価の可能性を示すことができた . ゴム手袋で は耐透過性を確保できない場合 , ゴム手袋と耐透過性を有するフィルム手袋の 2 重装着により , 作業性を 大きく損なうことなく耐透過性の確保が可能であると考えられた .

  • 黒川 愛香, 舩津 周一郎, 橋本 祥平, 佐藤 彰, 佐々木 裕一, 吉田 正典
    2024 年 63 巻 3 号 p. 169-173
    発行日: 2024/06/15
    公開日: 2024/06/15
    ジャーナル フリー

    超音波型ガス濃度計は , 多様な 2 種混合ガスの濃度測定が原理的に可能である . さらに熱伝導型や吸引 型などのガス濃度計と比較して応答性に優れ , ガス燃焼・爆発実験に適しているため , 今後様々な分野で の使用が期待されているが , 濃度計ごとに使用可能なガス種が限定されている場合や , ガス濃度計算手法 の詳細が明らかにされていない場合が多い . 本稿では , まず我々が研究開発を行った超音波型ガス濃度計 の解析手法を紹介する . 解析手法には独自のアルゴリズムを組み込むことで ,1 台であらゆる 2 種混合ガ スの設定ができるように開発した . 次に , 本濃度計を用いて水素と空気の 2 種混合ガスについて行った検 証実験の結果を報告する . また , 濃度計算プロセスの一括処理方法の開発についても紹介する .

我が社の環境安全活動
事故・災害ニュース
会報
feedback
Top