1989 年 28 巻 3 号 p. 132-138
分解爆発などにおける限界火炎温度の圧力依存性を,熱損失のある場合の層流火炎理論を応用することによって説明した.熱損失が容器壁への熱伝導による場合は,限界火炎温度Tと圧力Pとの関係は (P/P0)n=(T0/T)exp{Ea/RT-Ea/RT0}また,熱損失が高温の火炎帯からの放射によって生じる場合は(P/P0)n-m=(T0/T)2exp{Ea/RT-Ea/RT0}で表される。ただし,T0は圧力がP0のときの限界火炎温度,Eaは活性化エネルギー,nmは0~1の定数である。 これらの式をアセチレン・酸化エチレンの分解爆発,エチレン,エタンの爆発限界などのデータに適用したところ,分解爆発および爆発上限界の実験結果はこの式でかなりよく説明できることがわかった.それに対して,爆発下限界のデータはこの式の予測するところとはかなり異なった挙動をすることがわかった。その理由についても考察を加えた.