当所で開発した大気浄化用の光触媒の概要を示すとともに,実用化に移行した際の安全性を検討した,この光触媒は二酸化チタンを主成分とし,300~400nmの近紫外光を照射することで,環境濃度から10ppm程度までの窒素酸化物および硫黄酸化物を効率よく除去することができる.生成物は希薄な硝酸,硫酸であり,長時間使用後も水洗により除去能力を維持できる.トンネルなどの閉鎖的空間を人工光源を用いて浄化できるほか,太陽光を利用した屋外での直接的な使用(大気環境浄化)が初めて技術的に可能となった.この方法は従来の発生源対策を補完するものであるが,発生源よりも下流における対策であるため,環境や生態系に及ぽす影響はより大きいと考えられる,いくつかの評価項目について,光触媒材料やその使用にかかわる安全性についての考え方を示した.