モーターの動きを自由に制御する可変速電気駆動システムは,機械の駆動源として幅広く使用される一方,人に危害を及ぼす大きな力を生み出す危険源でもある.一般にモーターまたは可変速電気駆動システムによる機械的な危険が発生した場合には電気機械式部品で確実に電源を遮断し安全を確保するよう設計してきた. しかし,機械類の安全関連制御系に関する規格は,この数年の間に機能安全や定量的評価の概念を採り入れ大きく変化し,非常停止さえも電子制御できるようになった.本稿では,可変速電気駆動システムの安全確保および関係する諸規格について解説する.