事業者が製品事故にまつわり,リコールの実施を意思決定するにあたり,リスクアセスメント手法の一つであるR-Map 手法を用いて,事故の頻度と被害の程度から定量的にリコールの実施を判断する手法が経済産業省から提案されている.このR-Map における判断基準は,頻度と被害の程度であるが,これに加えて,リスクバイアスと呼ばれる方法を用いて,定性的な事象(バイアス因子)を反映させる手法が開発されている.現在までのところ,様々なバイアス因子が指摘されてきた. 本研究では,リコール事例の傾向分析によってバイアス因子を明らかにすることを試みた.この結果,リコールを義務付ける法規制や,品質上の問題によってリコールが増加する等の傾向を明らかにした.これらは,バイアス因子となり得ることを指摘した.