日本の地震リスクと,それに対する防災・減災施策をレビューした.日本の地震リスクは世界で最も高いグループに入り,また先進国の中では一番に高い.1995 年阪神淡路大震災を契機として,日本全国の詳細な地震リスクを一様に評価するためのプロジェクトが始まった.2011 年東日本大震災では,数百年に一度程度の低頻度で大規模な地震と津波災害に対する事前の検討が欠けていたことが教訓となり,国の防災施策についても大きな改訂がなされた.地震被害軽減のための基本的方策としては,被害の定量的な予測を行い,それに基づいて防災減災のための計画を立て実行していくこととされている.今後は,サプライチェーンなども含めた産業被害も定量的に予測し,産業界も含めて防災減災に取り組むことが,より確実に日本の地震リスクを軽減していく方策の一つとして考えられる.