全人口の4 人に1 人が65 歳以上という超高齢社会を迎える中,高齢ドライバーによる交通事故が大きな社会問題となっている背景には,高齢ドライバー数自体の増加と,ドライバー1 人1 人の事故リスクの増加という2 つの要因が存在すると考えられる.本稿では,高齢ドライバー事故の増加要因を改めて整理した上で,特に高齢ドライバー1 人1 人の事故リスクに焦点を当て,高齢化に伴う様々な機能低下と自動車運転におけるヒューマンエラー,そして交通事故の発生に繋がるまでのメカニズムおよびそれらの関連性を検証する.また,高齢ドライバーが安全に運転を継続するための対策手法について,今日の自動車社会の技術開発・普及の進展も踏まえて考察する.