2017 年 56 巻 3 号 p. 194-205
ハザードは,システムの状態が内部及び外部からの作用によって次々と変化して危害に至るプロセスとして把握できる.ハザードを同定し, その抑制策を導出するためには,状態と作用を時系列上で把握する必要がある.本論文では,まず作用によって,システムの状態が危害へ向かって遷移していくプロセスを,“状態-作用(S-A)プロセスチャート”で表現することを提案している.次に,ハザード抑制の基本原理(a)ハザードの除去,(b) 望ましくない状態変化を抑制する,(c)ハザード制御により安全な状態へ移行する,に基づき,S-A プロセスチャートを用いてハザードの抑制策を体系的かつ系統的に導出する方法を示している.そして,環境試験槽の停止に起因するハザードの同定及び抑制策導出にS-A プロセスチャートを適用して,その有効性を実証している.