2020 年 6 巻 1 号 p. 51-55
[目的]幼児期に子どもが運動を得意と感じることと運動能力の関連,ならびに父親・母親の運動有能感と子どもの運動能力との関連について検討する。[対象]A県・B 県の幼稚園または保育園に通う175名の年長児と保護者とする。[方法]父親・母親・対象児の運動有能感を2 択の質問紙にて調査した。子どもの運動能力評価として,体支持持続時間,立ち幅跳び,両足連続跳び越し,ソフトボール投げ,25m 走,捕球を実施した。運動有能感別に対象児の運動能力を対応のない t 検定でそれぞれ比較した。[結果]父親の運動有能感と対象児の体支持持続時間,母親の運動有能感と対象児のソフトボール投げ,また対象児自身の運動有能感では体支持持続時間以外すべての項目で運動が得意と感じている群が有意に良好な値を示した。[結語]幼児期にすでに運動有能感と運動能力の関連が明らかとなった。幼児期より運動が得意であるという意識を大切に育てていくことに加え,子どもと過ごす時間は母親または父親が子どもと積極的に体を動かすことで子どもの運動の経験も増え,運動能力の向上につながることが示唆された。