応用老年学
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原著論文
ソーシャルサポートと死に対する態度の関連;自尊感情の媒介効果の検討
小野 真由子長田 久雄
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2018 年 12 巻 1 号 p. 21-31

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抄録

本研究は,高齢者の自尊感情がソーシャルサポートと死に対する態度を媒介しているかについて明らかにすることを目的とした.死に対する態度の測定に使用した尺度は,丹下らが開発した死に対する態度尺度(ATDS-A)であった.この尺度は5つの因子から構成されている.調査対象者は有料老人ホームに入居している65歳以上の高齢者である.265名に質問表を配布し,回答の得られた54名を分析対象者とした.分析法は媒介分析を用いた.その結果,自尊感情はソーシャルサポートおよび,死に対する態度尺度の一つである「人生に対して死が持つ意味」両者に関連していたが,その媒介は成立しなかった.ソーシャルサポートは死の肯定的な側面を促進するが,そこに自尊感情の働きはなかった.

有料老人ホーム入居者の特性の影響および他の媒介要因の可能性,さらにソーシャルサポートの方向性という視点も考慮する必要があることが示唆された.

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© 2018 一般社団法人 日本応用老年学会
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