年間の死亡者数の増加に伴い,身近な人や知人の「死」など,「死」に触れる機会が増えるにつれ,「死」から目をそらさずに,自分たちで「死」について語り合うデスカフェが行われるようになってきた.しかし,テレビや新聞,雑誌等で取り上げられることがあっても,デスカフェの何が利点で人が集まり,自発的に「死」を語り合うことで,どのような気づきや思いが生まれ,どのような人生観や死生観を得ているのか,明かされていない.本研究はこれを明かすことを目的に,国内で唯一,毎月定期的に開催され,中高年が定着しているデスカフェの参加者7名に半構造化インタビューを実施した.集めた発言を質的記述的研究法で分析を行った結果,「死を語り,考えながら得た人生観や死生観」として4つの構成概念を得た.どの構成概念も「死」への思いが変わるだけでなく,死までの「生き方」にしなやかな強さと広がりを生むものであった.どこか“おどろおどろしい”響きをもつデスカフェが,実は楽しい自発的な「死への準備教育」の機能を秘めていることが示唆された.