応用老年学
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原著論文
自立高齢者と要支援・要介護認定高齢者における下肢骨格筋の量,質,運動機能の比較
渡邊 裕也山縣 恵美木村 みさか
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2020 年 14 巻 1 号 p. 58-68

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抄録

骨格筋超音波画像から得られる筋輝度が骨格筋の質を反映すると考えられる.本研究は自立高齢者と要支援・要介護認定高齢者における下肢骨格筋の量,質,運動機能の比較を目的とした.

対象者は高齢者98名で,40名が自立群,58名が認定群であった.右側大腿前部の筋組織厚,皮下脂肪厚,筋輝度を超音波法で評価した.膝伸展筋力を含む6項目の運動機能を測定し,得られた値からFitness age score(FAS)を算出した.

男女とも自立群では認定群に比べ筋組織厚が有意に高値を,筋輝度が有意に低値を示した.すべての運動機能は自立群で有意に高値であった.性別,群,年齢,BMI(body mass index),皮下脂肪厚を調整した重回帰分析の結果,筋組織厚および筋輝度は膝伸展筋力と有意に関連することが示された.一方,FASにおいては筋輝度の有意性が認められなかった.本研究により得られた結果は,下肢骨格筋の量が質に比べ高齢者の運動機能により強く関連することを示唆している.

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© 2020 一般社団法人 日本応用老年学会
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