目的:介護予防チェックリスト(KYCL)の欠損値の処理方法を検討すること.
方法:自立高齢者6187名のデータを使用し,KYCLの回答状況(例:はい/いいえ/無回答)を説明変数,要支援・要介護認定(以降,認定)発生を目的変数としたCox比例ハザード分析の結果から,リスクありと判定される回答に相応する無回答の得点を算出した.さらに,それらの平均値および中央値から欠損に代入する得点の候補を絞り込み,多重代入法との比較から一つに決定した.
結果:無回答の得点の平均値は0.86点,中央値は0.63点であった.3通りの補完方法(①0.5点を代入し合計点を切り捨て,②0.5点を代入し合計点を切り上げ,③1点を代入)と多重代入法とで得点分布および認定発生のハザード比を比較した結果,①が最も多重代入法を用いた場合に近い結果となった.
結論:KYCLの欠損には0.5点を与え合計点を切り捨てる方法が適切である.