2023 年 17 巻 1 号 p. 25-31
本研究では通所リハビリテーション利用者を世帯構造別・性別に分類し,心身機能を比較検討することで,独居世帯(95名)・夫婦のみ世帯(84名)高齢者のそれぞれの特徴を明らかにすることを目的とした.世帯構造別に各測定値を比較した結果,独居世帯は,握力,骨格筋量が有意に低下していること,夫婦のみ世帯は,認知機能低下・要介護者が有意に多いことが特徴として示された.さらに性別にて各測定値を比較した結果,女性は男性に比して握力,骨格筋量が有意に低値を示した.特に握力は夫婦のみ世帯の男性が全国平均よりも低く,骨格筋量は両世帯の男女共にサルコペニアの診断基準に該当するレベルであった.これらの結果から,通所リハビリテーションにおいては,世帯構造に関係なくサルコペニアに対する介入が必要である.また,夫婦のみ世帯は,認知機能低下・要介護者が多いため,利用者の急速な状態の変化や介護者の負担等に留意する必要がある.