2009 年 3 巻 1 号 p. 36-44
要介護高齢者の主介護者における主観的介護負担および客観的介護負担と抑うつとの関連を調べ、さらに主観的介護負担が高い介護者の対処方略 (コーピング) の特徴を検討した。要介護高齢者の主介護者34名 (平均年齢69.3 ± 14.4歳) を対象とした。抑うつの評価として抑うつ自己評価尺度 (CES-D)、主観的介護負担の指標としてZarit介護負担尺度日本語版 (J-ZBI)、客観的介護負担の指標として身体的自立を評価するBarthel Index (BI) を用いた。また、コーピングの評価には、ストレスコーピング尺度を用いた。結果、CES-DとJ-ZBIとの間には有意な正の相関を認めたが (r=0.63, P < 0.001)、CES-DとBIとの間には有意な相関は認められなかった。コーピングに関しては、主観的介護負担が高い介護者では、主観的介護負担が低い介護者よりも気分転換型の得点が有意に低かった(P < 0.05)。