応用老年学
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原著論文
中高年日本人における社会貢献活動の規定要因と心身のウェルビーイングに与える影響 : 2つの代表性のあるパネルの縦断的分析
柴田 博杉原 陽子杉澤 秀博
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2012 年 6 巻 1 号 p. 21-38

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抄録

 本研究の目的はわが国の中高年者の社会貢献活動の加齢変化とその規定要因、社会貢献活動の担い手への心身のウェルビーイングに対する影響を縦断研究のパネルを用いて特定することである。パネルは2つあり、いずれも全国の代表サンプルである。1つはベースラインで55~64歳 (J-HRS)、もう1つは70歳以上である (J-AHEAD)。前者は4年間、後者は3年間追跡調査した。J-HRSで加齢にともない有償労働時間は男女で、家庭内の無償労働時間は女性で低下する傾向があった。有償労働時間と他の活動の加齢変化に逆相関がみられた。有償労働時間の変化に対し男女とも年齢は負の、自営業主・家族従業員であることは正の寄与をした。家庭内の無償労働時間の変化に対し、女性では有償労働時間 (ベースライン) が負の寄与をした。奉仕・ボランティア活動時間に対しては、男性では年齢と学歴が正の女性では年齢が負の関連を示した。交絡要因を統制して、男性のみで有償労働時間が抑うつ傾向に対し負の女性のみで家庭内無償労働が負の関連を示した。J-AHEADの分析で、有償労働と他の活動の合計時間は、ADL障害、認知障害、死亡を予防する効果があった。しかし、それは1日総計8時間でもっとも良い効果を示すU字型の関係であった。

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© 2012 一般社団法人 日本応用老年学会
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