応用老年学
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原著論文
熱中症を発症した高齢者の体験プロセス分析
太田 淳子田村 嘉章長田 久雄
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2015 年 9 巻 1 号 p. 19-30

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抄録

研究目的は,高齢者の熱中症における身体的,心理的,社会的な要因を明らかにすることである.対象は,65歳以降に熱中症と診断された8名(平均年齢78.0歳)とした.データ収集方法は半構造化面接を行い,分析方法は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた.結果,4つのカテゴリーと5つのサブカテゴリー,18の概念が生成された.中心概念である【気づかないうちにゆっくり進む熱中症】が,【自分とは無縁な熱中症】【夜間に生じる脱水】に影響していた.心理的要因である<関係なし><予防する動機なし>によって<情報と知識の獲得不足>となり【自分とは無縁な熱中症】に影響していた.心理的要因である<自然の風に対する肯定的価値観><もったいないと感じる冷房>によって,夜間,寝室で冷房を使用しないで寝るという行動に影響していた.社会的要因である<窓を開けても暑い夜>や<防犯のために開けられない窓>によって≪暑い寝室≫となり【夜間に生じる脱水】に影響していた.

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© 2015 一般社団法人 日本応用老年学会
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