目的: 高齢者の体位・頭頸部角度の違いと嚥下機能との関連を、3回の唾液嚥下積算時間を用いて検討した。
方法: 市主催の一次予防事業に参加した19名とS市のデイサービス利用者16名を対象とした。2種類の体位として座位と臥位、3種類の頭頸部角度として30度屈曲、0度、30度伸展とした。各回の唾液嚥下時間と積算時間を用い、体位・頭頸部角度との関連および嚥下時間へ影響する要因の検討を行った。
結果: 唾液嚥下積算時間では、座位頭頸部0度が最も短く、臥位頭頸部30度伸展時が最も嚥下に時間を要した。座位と臥位で頭頸部30度屈曲の嚥下時間に大きな差はみられなかった。
考察: 頭頸部を伸展した場合は座位・臥位共に嚥下時間が延長するため、頭頸部の角度が嚥下時間へ及ぼす影響は大きいと思われた。座位と臥位で頭頸部屈曲角度における嚥下時間に差がなかったことから、頭頸部を屈曲した状態であれば臥位時においても検査が可能であることが考えられた。
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