Sago Palm
Online ISSN : 2758-3074
Print ISSN : 1347-3972
研究・調査報告
形態の異なる2種類の尿素肥料に対するサゴヤシの窒素吸収と応答
Lina Suzette B.岡崎 正規木村 園子ドロテアQuevedo Marcelo A.Loreto Alan B.Mariscal Algerico M.
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2010 年 18 巻 2 号 p. 73-83

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抄録
 本研究は,窒素吸収と生育因子を用いてサゴヤシに対する緩効性尿素肥料の効果を評価したものである.フィリピンの土壌(Eutropepts)と砂を1:2の混合割合で作製した培地をポットにつめて試験を実施した.異なる2種類の尿素肥料(通常の尿素肥料と緩効性尿素肥料(Meister 40)(20℃,400日で尿素肥料中の窒素の80%が放出される)を移植2週間後および12ヶ月後にha 当たり50および100 kg 施用し,3反復で,ランダム配置し,サゴヤシの窒素吸収と生育因子についてコントロール(尿素肥料無施用)区と比較した.いずれの尿素肥料施用区においても50 kg N ha-1 の施用は,コントロール区に比べてサゴヤシの樹高を増加させた.しかし,100 kg N ha-1を施用すると,樹高の増加は明瞭ではなくなった.移植2週間後に通常の尿素肥料を施用すると,サゴヤシの窒素吸収は,施肥後短期間で有意に増加した.一方,移植2週間後に緩効性尿素肥料を施用すると,試験開始6ヵ月目にサゴヤシの窒素吸収の増加が明瞭となった.緩効性尿素肥料を用いれば,肥料からの窒素の放出を規制でき,サゴヤシの窒素吸収を制御することができた.したがって,サゴヤシの生育環境における窒素の損失を最小限にするために,緩効性尿素肥料をサゴヤシ生産にとって,より適切な肥料として位置づけ,利用すべきであると結論した.
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© 2010 サゴヤシ学会
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