箱庭療法学研究
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研究報告
分離不安傾向のある女児との箱庭療法過程
―― 宝物と共に成長していくこと ――
山元 麻由美
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キーワード: 分離不安, 母性性, 宝物
ジャーナル 認証あり

2011 年 24 巻 2 号 p. 2_53-2_66

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抄録

本事例では,分離不安傾向のある小学生の女児が箱庭や遊びを通して自己表現を重ね,象徴の世界で母性性を体験しながら成長していくという過程を報告する。箱庭作品においては,空間を「区切る」「分ける」ことによって母親と自己との違いや気持ちの交わらなさを示したり,成長していくために必要な力や勇気を「宝物」というお守りとして頻繁に登場させたりと彼女の想いが色々な形で表現されたと思われる。
今回,筆者は箱庭療法過程やプレイルーム内において彼女から与えられた安全パトロールの任務や宝物を守る番人という役割をもって,彼女の表現や反応を受け止め・支えてきたことが成長の一端を担えたのではないかと考えている。

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© 2011 日本箱庭療法学会
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