箱庭療法学研究
Online ISSN : 2186-117X
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原著
遊戯療法による自閉症児の象徴化過程
田中 秀紀
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ジャーナル 認証あり

2012 年 25 巻 2 号 p. 3-11

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抄録

本論文では自閉症児の遊戯療法における象徴化過程を検討した。セラピストがクライエントを母子分離させることは, クライエントに否定の形式を与える。ここにおいてクライエントの言語への参入が生じ, 同時に主体性が生成した。その後クライエントは自らの象徴能力を分節化させていく。そこでは客観的視点の獲得, 在不在, 法則性に関する遊びが展開した。またセラピストがクライエントの鏡像として機能することで身体像獲得の作業が行われた。セラピストはクライエントにとって象徴的取り入れの対象ともなっていた。また自閉症児の遊戯療法においては, 言葉が疎外されることなく自らの身体像を参照点として自らの言葉を発することが重要であり, それは《他者》であるセラピストとの共同作業によってなされることが示唆された。

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© 2012 日本箱庭療法学会
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