箱庭療法学研究
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研究報告
運動と社会性の発達に障害がある男児の箱庭療法過程
古市 真智子
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ジャーナル 認証あり

2013 年 26 巻 2 号 p. 63-74

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抄録
本稿で検討するのは,発達障害をもつ男児との箱庭療法過程である。Clは運動と社会性の発達に障害がある小学4年生の男児であり,暴言や集団行動ができない等の主訴で来談したが,箱庭づくりを始めたころから,これらの問題は改善へと向かった。Clの制作した箱庭の内容と構造には,混沌とした世界が「同質-異質」「普通-変な」等の相対性を軸に整理され,まとまりのある世界へと変化していく過程がみられた。これは,これまでClが世界を理解してきた過程を確かめながら歩み直していたようであった。また,この過程においてClは,Thとの「情動調律」や「共同注意」といった原初的な母子関係を体験したと考えられた。
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© 2013 日本箱庭療法学会
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