2016 年 29 巻 2 号 p. 3-15
自閉症児らは,太古の人々や乳児とも共通するような“広大な世界”を表現することがよくある。本論文では,7年間の高機能自閉症児とのプレイセラピーを通して,彼女がセラピストと共に「広大」な世界に触れ,それを納めるための様々な“枠を”創造していったプロセスについて論じた。クライエントとセラピストを包み込むように“見えない枠”が現れると,彼女は“堅い殻”を壊していった。すると,通常では見えないはずのおばけや光が見えるといった,「広大」な世界が現れた。そして彼女は,セラピーの中で様々な“枠”を創造し,様々な儀式を行いながら,“内面の枠”の中に「広大」な世界を入れ込んでいった。このようなプロセスを経て,彼女は次第に現実世界へと近づいていった。