2019 年 32 巻 2 号 p. 57-69
箱庭療法やMSSM(交互ぐるぐる描き物語統合法)などの表現療法では,心理療法の進展に伴い,変容の鍵となるようなイメージが現れ展開する。本稿では,不登校男子中学生が心理面接の中で,箱庭療法やMSSMで表現したイメージについて検討した。クライエントは,初回箱庭で砂漠での遭難をイメージし,初回のMSSMでは「伝説の卵を探す旅」の物語を作った。それらのイメージは変化し続け,彼も変容し,最後には統合の物語が作られて面接は終結した。クライエントの変容と,表現療法の中でのイメージの変化は,同時的に生じていた。本稿では「卵」イメージを中心に,「思春期内閉」と「孵化」の観点から,心理療法でのイメージの働きについて考察した。