2020 年 32 巻 3 号 p. 67-79
本論文では,夫や実母や娘(B子)との関係に苦悩する35歳女性Aのカウンセリング過程と箱庭を報告し,夫や実母や娘とAとの関係を『白雪姫』コンプレックスの観点から考察した。Aは来談当初,B子がどうして登校しぶりをするのか理解できずに苦しんでいたが,カウンセリングを受ける中で,実母との歪んだ関係がAとB子との母娘関係に影響をおよぼし,登校しぶりを生じさせていると自覚するようになった。そして,B子が登校することが出来るようになると,Aは,夫婦関係を見つめだし,嫌いな実母から逃れるために結婚したものの,上手く結婚生活を送れず嫌悪感を抱き続けている夫との間に少し距離感を保つことができるようになる。するとAは,本来自分がやりたかった仕事に積極的に取り組むことができるようになり,まだまだ課題は残されているものの将来に向けて自立への道を歩みだしたと考えられる。