箱庭療法学研究
Online ISSN : 2186-117X
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原著
宇宙との一体感がもたらした心の全体性の回復への道
杉山 由利子
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ジャーナル 認証あり

2020 年 33 巻 2 号 p. 3-13

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抄録

本論文では,個人的無意識と集合的無意識が渦巻く闇を生きてきた女性(60代主婦)の事例を報告する。彼女はそうした闇を「黒」と呼び,「黒」を忌み嫌っていたが,多量の夢とヴィジョンに導かれて心の全体性の回復へのプロセスを歩んでいった。「白」くあることに囚われていた彼女は,まず「黒」を認識しはじめ,女性性と男性性の獲得を経て,白い光の中に入り,宇宙と一体化するという神秘的な体験をする。その結果として,彼女は今まで求め続けていた“大いなるもの”が,いつでも自分の内に存在するということに気づいていった。そして「白・黒」の両方を抱えて生きることができるようになり,家庭の中で生きることにも幸せを感じられるようになっていった。

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© 2020 日本箱庭療法学会
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