産婦人科の進歩
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症例報告
集学的治療が奏効した子宮頸部すりガラス細胞癌の1例
安田 勝行植田 政嗣寺井 義人金村 昌徳西山 浩司恒遠 啓示大道 正英
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2006 年 58 巻 4 号 p. 351-355

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抄録

子宮頸部すりガラス細胞癌(glassy cell carcinoma : GCC)は全頸癌の 1~2 %とまれであり,放射線療法や化学療法に対して抵抗性を示すことから予後不良とされている.今回われわれは動注化学療法後に根治手術を行い,放射線化学療法を追加して予後良好であったGCCIIIb期の1例を経験したので報告する.症例は37歳の未妊婦で不正性器出血を主訴に近医を受診し,頸癌の疑いで当科紹介となった.初診時,子宮腟部はカリフラワー状の易出血性腫瘤により占拠されており,右傍結合織に骨盤壁に達する抵抗が触知された.頸部擦過細胞診はクラスV,生検組織診でGCCが検出された.GCCIIIb期との診断で,動注化学療法(CDDP:100mg + MMC:20mg + THP:20mg + 5-FU:500mg)2コースを行ったところ,腫瘍の著明な縮小がみられたため,広汎性子宮全摘出術,両側付属器摘出術および骨盤リンパ節郭清術を施行した.追加治療として全身化学療法(CDDP:20mg + 5-FU:300mg 5日連続投与)3コースを併用して全骨盤照射50.4 Gyを施行した.治療終了後4年が経過しているが,現在まで再発徴候は認められない.術前動注化学療法,根治手術,術後放射線化学療法からなる集学的治療はGCCの予後向上に役立つ可能性がある.〔産婦の進歩58(4):351-355,2006(平成18年11月)〕

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© 2006 近畿産科婦人科学会
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