2011 年 63 巻 1 号 p. 33-36
外陰部悪性腫瘍手術の目的が腫瘍根治切除であることはいうまでもない.広範な外陰部欠損のため会陰部再建術が必要となるが,従来法は単なる欠損ヵ所の補填という性格が強い.今回われわれは,機能・美容という両面において利するところの多い臀溝皮弁(gluteal fold flap,またはlotus petal flap)を用いた会陰部再建を行った1例について報告する.症例は65歳,半年前から外陰部腫瘤の増大を認め,出血をきたしたことから当院受診.糖尿病の既往と腫瘍に伴う高カルシウム血症を認めた.外陰癌と術前診断し,広汎外陰全摘術・会陰部再建術を施行した.最終病理診断結果が,高分化型扁平上皮癌,pT1bN0M0であったことから追加治療は不要と判断.皮弁皮膚の一部に壊死をきたしたが,幸い生着をみた.donor siteの治癒や排尿・排便機能に関しては支障なく経過した.〔産婦の進歩63(1):33-36,2011(平成23年2月)〕