産婦人科の進歩
Online ISSN : 1347-6742
Print ISSN : 0370-8446
ISSN-L : 0370-8446
原著
切迫早産入院管理の結果, 妊娠29週未満で早産となった児の予後に関連する因子の検討
宇治田 直也谷村 憲司平久 進也前澤 陽子森實 真由美出口 雅士森岡 一朗山田 秀人
著者情報
ジャーナル 認証あり

2016 年 68 巻 2 号 p. 69-74

詳細
抄録

[目的]切迫早産のために妊娠29週未満で早産となった児の予後不良に関連する因子を明らかにすることを目的とした.[方法]2005年1月から約10年間に切迫早産のために当科で入院管理の末,妊娠29週未満で早産となった出生児43例(多胎および胎児異常を除く)を対象とし,児の予後不良に関連する因子を後方視的に検討した.全対象症例を予後良好群(後遺症なし生存)28例と予後不良群(後遺症あり生存ないし死亡)15例の2群に分類した.検討因子として,分娩週数,破水の有無,妊娠中の母体血清CRP最高値2.0 mg/dl以上,妊娠中の母体血白血球数最高値15000/μl以上,妊娠中の母体体温最高値37.5℃以上,母体ステロイド投与あり,児性別が男,児の出生体重の標準偏差値,胎盤病理でBlanc分類II度以上を検討因子とした.児の予後不良に関連する因子をステップワイズ方式でロジスティック回帰分析を用いて決定した.[成績] 単変量ロジスティック回帰分析の結果,分娩週数(オッズ比[95%信頼区間],p値)(0.6[0.4-0.9],p=0.02),破水あり(2.2[0.5-9.8],p=0.29),妊娠中の母体血白血球数最高値15000/μl以上(0.5[0.1-1.8],p=0.29),妊娠中の母体体温最高値37.5℃以上(3.0[0.7-13.6],p=0.2),母体ステロイド投与あり(2.1[0.6-7.4],p=0.27)が選択された.これらの因子について多変量ロジスティック回帰分析を行ったところ,分娩週数のみが児の予後不良に関連する因子として選択された(0.5[0.3-0.9],p=0.03).[結論]切迫早産から妊娠29週未満で早産に至る児の予後に分娩週数が強く関連することが明らかになった.児の予後改善のためには,より早い週数での早産を避けることが重要であると考えられた.〔産婦の進歩68(2):69-74,2016(平成28年5月)〕

著者関連情報
© 2016 近畿産科婦人科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top