産婦人科の進歩
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原著
胎児/早期新生児死亡の剖検50症例の臨床病理学的解析
圦 貴司江川 宏征李 重煥岡野 公明螺良 愛郎
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ジャーナル 認証あり

2016 年 68 巻 2 号 p. 75-81

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抄録

当院で取り扱った胎児/早期新生児死亡の剖検50症例を解析した.剖検主診断による疾患の分類では先天異常が27例と最も多く,次いで臍帯の捻転など臍帯の異常が8例あった.先天異常の診断で剖検を行われた症例にはPotter症候群と胎児水腫の症例が8例ずつ含まれていたが,このうちPotter症候群は全例,胎児水腫は2例に肺低形成を合併していた.対象とした50症例のうち9例(18%)は剖検を行っても死因を同定しえなかった.このうち6例は浸軟を伴っており,うち3例は児の体重が500g以下であった.先天異常と臍帯の異常,死因不明以外を主診断とした残りの6症例は,胎盤の異常(2症例),子宮内感染症(2症例),胎便吸引症候群(1症例),双胎間胎児発育不均衡(1症例)であった.剖検は児の異常や子宮内胎児死亡の原因を病理学的に同定する有力な検索手段になると考えられた.〔産婦の進歩68(2):75-81, 2016(平成28年5月)〕

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© 2016 近畿産科婦人科学会
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