産婦人科の進歩
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症例報告
妊娠中の糖尿病性虹彩炎治療により発症した続発緑内障に対し,マンニトールおよびアセタゾラミドを投与して母児ともに良好な転機を得た1例
三宅 龍太安川 久吉松原 翔藤井 肇永井 景赤田 忍
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2019 年 71 巻 3 号 p. 253-258

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抄録

今回糖尿病性虹彩炎治療中に続発緑内障を発症するも母児ともに良好な転機を得た1例を経験したため報告する.症例は3妊1産.妊娠初期検査でHbA1c 7.9%であり妊娠中の明らかな糖尿病と診断し,強化インスリン療法を導入し血糖管理した.妊娠9週に右眼痛と流涙を主訴に眼科を受診し右眼急性糖尿病性虹彩炎と診断された.ステロイド嚢下注射を行い症状は改善した.妊娠20週より右眼痛,霧視が出現し右眼圧が上昇したため続発緑内障と診断された.徐々に眼圧コントロールが困難となり,失明の可能性が示唆されたため妊娠35週6日にマンニトールおよびアセタゾラミドの全身投与を行った.症状は改善し眼圧は48から25mmHgへ減少した.眼圧および血圧管理目的に妊娠37週4日に硬膜外鎮痛下誘発分娩を行い生児を得た.糖尿病合併妊娠では積極的に眼疾患合併の有無を検索するべきである.緑内障合併妊娠の分娩様式として硬膜外鎮痛法を用いた無痛分娩が選択肢に挙げられる.〔産婦の進歩71(3):253-258,2019(令和元年8月)〕

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© 2019 近畿産科婦人科学会
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