産婦人科の進歩
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当院における最近10年間の既往帝王切開妊婦の解析
鈴木 晋一郎志村 研太郎小林 俊三広瀬 多満喜伊藤 裕
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1996 年 48 巻 5 号 p. 543-549

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抄録

当院における最近10年間の既往帝王切開妊婦について分娩の転帰を調査し,対照群との比較検討を行った.TOL(trialoflabor)率,VBAC(vaginalbirthaftercesareansection)率は他施設でのデータ(小林,1994)とほぽ同じであり,TOL例のうちVBAC成功率は81.7%と高い値を示した.VBAC群と緊急帝切群の間に年齢,分娩週数で有意差はなかった.前回CPD(児頭骨盤不均衡)例ではTOL率,VBAC成功率とも低値であったことより,VBACの成否に前回の帝切の適応が大きく関わることが示唆された.また,VBAC群と初産経膣群の間,緊急帝切群と選択帝切群との間にはいずれも分娩時出血量で差がなかったことより当院におけるTOLの安全性が裏付けられた.〔産婦の進歩48(5);543~549,1996(平成8年9月)〕

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