1998 年 50 巻 4 号 p. 413-416
術前診断が困難であった変性を伴った子宮平滑筋腫の2症例を報告する.症例1は37歳の未経妊婦人.騰上に至る単房性の腫瘤を認め,卵巣腫瘍の診断にて開腹したところ,子宮前面より発育した嚢胞状腫瘤であった.腫瘤の内壁は上皮組織を欠き,外側は平滑筋層で覆われ,嚢胞状変性した平滑筋腫と診断された.症例2は38歳の未経妊婦人.剣状突起におよぶ多房性の腫瘤を認め卯巣腫瘍の診断にて開腹したところ,子宮底部より発育した有茎性,多房性の巨大な腫瘍を認め,腫瘤摘出術を行い子宮は温存した.病理組織学的に嚢胞状変性した子宮平滑筋腫と診断された.術前の診断は困難であるが骨盤内の嚢胞状腫瘤の診断では本症も考慮すべきである.〔産婦の進歩50(4);413~416,1998(平成10年7月)〕