抄録
本研究では、対象者を大学生とし、生活意識と被服着用行動との間に因果関係があるかどうかを明らかにすることを目的とし、アンケート調査を行った。生活意識を測定する64項目への反応を因子分析したところ、「充実感」、「健康意識」、「身だしなみ」、「不信感」、「向上心」、「家族」の因子を抽出した。また、被服着用行動を測定する38項目への反応を因子分析したところ、「自己変容・自己顕示」、「ファッション性」、「低価格志向」、「同調性」の因子を抽出した。ここで、生活意識と被服着用行動の因果関係を明らかにするため、共分散構造分析を行った。以上の結果から、S大学学生において、身だしなみに気を遣うという生活意識をもつ学生ほど、着用行動の際、自己の変容を意識し、ファッション性を強く意識することが明らかになった。また、内向的で不信感を抱いている学生ほど、低価格志向であることが明らかとなった。