抄録
本論文では,日本産ジャポニカ種米の需要拡大に向け,ジャポニカ種米「きらら397」を主原料とし,高アミロース米「夢十色」を副材料として得られたブレンド米粉により試作した米麺の品質変化について比較検討を行った.その結果,高アミロース米の「夢十色」を部分的に併用したブレンド茹で麺の破断応力と破断ひずみは,ジャポニカ種100%の「きらら397」の茹で麺より有意に高い値を示す一方,損失正接は「きらら397」の茹で麺より低い値を示した.即ち,高アミロース米とのブレンド茹で麺は「きらら397」の茹で麺より強固なゲルネットワーク構造を形成しており,その茹で麺物性は大きく改善されることが明らかとなった.また,ブレンド茹で麺の貯蔵弾性率と損失弾性率の上昇速度は,「きらら397」の茹で麺より顕著であり,ブレンド茹で麺は「きらら397」茹で麺より老化が早いことが示された.なお,官能評価において,高アミロースの「夢十色」を部分的に併用したブレンド茹で麺はジャポニカ種100%の「きらら397」より官能的に好まれることが明らかとなった.