抄録
バイオガスを利用する際には,経済的で効率良い脱硫が求められる。中でも,消化液中の微生物の働きを利用した生物脱硫が有効であると考えられている。しかし,消化液を利用した脱硫装置における処理能力や設計要点ついての詳細な検討はなされていない。本報では,バイオガスの通気負荷試験を行い,模型装置での処理能力を求めるとともに,装置設計仕様を考察することを目的とした。また,模型装置での処理能力を基に実規模装置を作成して全ガス処理を行った。
実用装置には0.24 m-3の塩化ビニル製の円筒を用い,内部に接触材を充填した。消化液は装置上部から噴射し,1日1割を新鮮なものと交換して使いまわしによる影響が出ないように考慮した。
目標値の脱硫率85%で処理を行う場合,模型装置ではバイオガスを約4.0 m-3/hまで通気可能であった。面積ガス比を基に実規模装置を4.0 m-3で作成して全ガス処理を試みた結果,適切な温度条件で運転を行えば目標値を充分に達成できると考えられた。