農業施設
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43 巻, 1+2 号
第43巻第1,2号(通巻133号)
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 鈴木 崇司, 干場 信司, 小川 人士, 高﨑 宏寿, 岡本 英竜, 天野 徹, 森田 茂
    2012 年43 巻1+2 号 p. 1-7
    発行日: 2012年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    バイオガスを利用する際には,経済的で効率良い脱硫が求められる。中でも,消化液中の微生物の働きを利用した生物脱硫が有効であると考えられている。しかし,消化液を利用した脱硫装置における処理能力や設計要点ついての詳細な検討はなされていない。本報では,バイオガスの通気負荷試験を行い,模型装置での処理能力を求めるとともに,装置設計仕様を考察することを目的とした。また,模型装置での処理能力を基に実規模装置を作成して全ガス処理を行った。 実用装置には0.24 m-3の塩化ビニル製の円筒を用い,内部に接触材を充填した。消化液は装置上部から噴射し,1日1割を新鮮なものと交換して使いまわしによる影響が出ないように考慮した。 目標値の脱硫率85%で処理を行う場合,模型装置ではバイオガスを約4.0 m-3/hまで通気可能であった。面積ガス比を基に実規模装置を4.0 m-3で作成して全ガス処理を試みた結果,適切な温度条件で運転を行えば目標値を充分に達成できると考えられた。
  • 岩崎 直人, 萩原 宏幸, 安田 直登, 小野 拓生
    2012 年43 巻1+2 号 p. 8-14
    発行日: 2012年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    ネイハキンカンにおける1番花を利用した生産体系の確立を目的として,面場要水量の30%程度の土壌乾燥処理および土壌乾燥処理期間中の乾燥空気処理が樹体の水ストレスの程度および着花数に及ぽす影響を謝べた。2006年5月23日から10日間および20日間の土壌乾燥処理を行った場合,1番花の開花数が各々72.0および70.7個で,対照区の6.7個に比べて有意に増加した。一方,乾燥空気の単独処理では1番花数が16.3個で,対照区の2.7個と比べて有意な差はなかったが,土壌乾燥処理と組み合わせた場合には132.7個となり,対照区と比べて有意に増加した。また,1番花と2番花における総開花数は,乾燥空気の単独処理においても113.3個となり対照区の95.0個に比べて増加する傾向にあった。以上の結果から,キンカン栽培において土壌乾燥処理と乾燥空気処理を平行して行うことによって,水ストレスの効果が高まり,1番花数を増加させることができた。
  • 野口 剛, 赤坂 大輔, 宮部 真理子, 美川 智, 奧村 直彦, 金谷 奈保恵
    2012 年43 巻1+2 号 p. 15-23
    発行日: 2012年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    310頭の三元交雑種の肉豚を用いて,椎骨数の違いによる肉豚の増体量,枝肉成績,肉質成績,体脂肪の脂肪酸組成を比較した。さらに,椎骨数遺伝子型(VRTN)の遺伝子型による分類を行ない同様な比較を行なった。椎骨数の発生頻度は20型が11%,21型が66%,22型が23%であった。椎骨数22型の枝肉は20型,21型に比べと体長,ロース部が長く,ロース断面積が小さく,ロースおよびバラの比率が高くなっていた。肉質は肉の硬さに違いがみられ,22型が柔らかくなった。増体量は22型が優れる傾向を示した。背脂肪の脂肪酸組成は椎骨数の影響を受けなかった。椎骨数遺伝子型による分類でみると野生型は椎骨数が20と21個の2タイプがみられ,平均椎骨数は204個,ヘテロ型は20,21および22個の3タイプがみられ,平均椎骨数は21.0個,増大型は21と22個の2タイブがみられ,平均椎骨数は21.7個であった。椎骨数の遺伝子型を診断することにより,個体の椎骨数を推定することが可能と考えられた。椎骨数遺伝子型による分類において,枝肉成績,肉質成績,体脂肪の脂肪酸組成は椎骨数の分類と同様な結果が得られた。
  • 加藤 拓, 申 宝明, 林 芙俊, 宮竹 史仁, 小池 正徳, 佐藤 禎稔, 谷 昌幸
    2012 年43 巻1+2 号 p. 33-40
    発行日: 2012年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    化学肥料の代替として堆肥の利活用が奨励されているが,作物収量・品質を保ちながら化学肥料施用量を削減するためには,堆肥由来肥料成分が圃場内に均一に施用されなければならない。本研究では牛ふん麦稈堆肥由来の肥料成分施用量の圃場内における分布を明らかにするために,北海道十勝地域の3軒の耕種農家圃場にてマニュアスプレッダーによる堆肥散布量分布調査を行った。その結果,堆肥現物散布量は,変動係数が57.8〜63.9%であり,圃場内にて大きくばらついていることが明らかとなった。また,堆肥由来肥料成分施用量の分布はNで7〜21倍,P2O5で7〜22倍,K2Oで8〜23倍もの違いを示し,堆肥由来肥料成分が圃場内において均一に施用されていない実態が明らかなた肥由来の各肥料分施用量の圃場内における変動は堆肥散布量に規定されており,堆肥散布量は堆肥水分率ならびにC/N比といった堆肥の物理化学的性状の不均質性による影響を受けることが示唆された。
  • 宮竹 史仁, 鈴木 康浩, 谷 昌幸, 加藤 拓, 前田 高輝, 前田 武己, 岩渕 和則
    2012 年43 巻1+2 号 p. 41-48
    発行日: 2012年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    戻し堆肥の混合が堆肥化初期過程における一酸化二窒素(N2O)の排出に及ぼす影響を明らかにするために,堆肥化試験装置を用いて乳牛ふんおよび馬ふんの堆肥化過程におけるN2O出速度を検討した。N2O出速度は,堆肥化開始時前(一次発酵前)に戻し堆肥を堆肥原料に混合することで著しく上昇した。同様に,N2O出量も顕著に増加し,戻し堆肥の無添加区と比較して乳牛ふん堆肥化では最大26倍,馬ふん堆肥化では885倍にも増加した。戻し堆肥を混合した堆肥材料では,N2Oの発生原因物質である硝酸態窒素(NO3--N)または亜硝酸態窒素(NO2--N)の高い濃度が検出され,このNO3--NまたはNO2--Nの蓄積がN2O排出速度の上昇を引き起こしたと示唆された。
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