2012年5月6日に発生した複数の竜巻によって,茨城県および栃木県下のパイプハウスに甚大な被害が生じた。竜巻の進路上にあって,突風によって構造が破壊されたパイプハウスを現地調査し,被災特徴からパイプハウスと風圧力の関係について整理した。パイプハウスは軽量構造物であり,F1クラス以上の竜巻の直撃に対して抵抗する性能を有していない。パイプハウスの被災パターンは,風上側側面の転倒が顕著であった。これは,台風による被災の場合と近似している。パイプハウスは,竜巻の上昇流ではなく,竜巻の到達初期に水平方向の風で被災する可能性が高い。また,被覆材や構造の差異がパイプハウスの被災パターンに及ぼす影響はみられなかった。急激に増加した風速によって,被覆材が破断せずに風圧力を骨組に伝達した。パイプハウスの補強としては,アーチパイプと桁行直管の接合金具の改良や筋交いの増加が挙げられる。