抄録
大規模施設を利用したトマト(Solanum lycopersicum L. cv. Elegance)周年栽培における安定多収生産を目的とし,着果制限が長期多段穫りトマトの生育と収量に及ぼす影響について調査を行った。1果房内の着果数の違いで,無摘果区,6果区,4果区の3処理区を設けた。摘果処理は草丈,着果段数に影響を及ぼさなかった。葉数に差はみられなかったが,葉面積は4果区が最も大きく,次いで6果区,無摘果区の順であった。開花間隔および果実生育期間は温度と高い相関があり,摘果の影響は認められなかった。果実はシンク能が大きく,着果数が増加すると,葉,茎,根の重量が減少し,特に根の成長が抑制された。総収量は6果区が最も高く,無摘果区と4果区には差はみられず,果実乾物重も同様の結果であった。しかし平均果実重は,4果区が最も重く,次いで6果区,無摘果区の順であった。摘果処理は果実のBrixに影響を及ぼさなかった。総乾物重と果実乾物重,栄養器官乾物重と果実乾物重の間には高い相関が認められた。そのため,高い収量を得るためには高い総乾物重が重要な要素になることが明らかになり,本試験の条件下における1果房当たりの最適な着果数は6果であると考えられる。