抄録
市街地,けい畔および法面の雑草など高水分で収集されるソフトバイオマスは,これまで有効な用途がなかったが,水分を下げることにより固形燃料利用などの用途拡大が見込める。そこで本研究では,高水分のソフトバイオマスを資材化し利用を進めるために,家畜ふん堆肥の製造工程で利用される発酵乾燥をソフトバイオマスに適用し,省エネルギーで低コストな乾燥方法を確立することを目的とした。特に本報では,容積11 L と容積431 L の反応槽にて雑草を用いた堆肥発酵試験を行い,原料の初期含水率が熱発生特性に与える影響を調べた。加えて熱発生特性や有機物分解率といった堆肥発酵特性を調べ,ソフトバイオマスの堆肥発酵過程における戻し堆肥の添加効果を検討した。その結果,含水率が30 %w.b. 以下では平均熱発生速度,温度上昇ともに小さく,発酵熱により乾燥できる含水率は30 %w.b. 程度と考えられた。戻し堆肥を添加した区は,無添加区に比べ堆肥発酵初期の温度上昇が早く,有機物分解率が高かったことから,戻し堆肥を添加することで,発酵乾燥に要する日数を短縮できることがわかった。