農業施設
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開発途上国の農業機械化促進に有効な技術・知識移転に関する調査研究
大橋 勇一 佐竹 隆顕
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 46 巻 4 号 p. 90-100

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抄録
JICA(国際協力機構)筑波国際センターでは,1964年から開発途上国の国を代表する行政官や農業技術者対象に農業機械研修を通じた技術協力の一つである人材育成事業を継続的に実施してきた。将来の農業機械研修の一層の発展に資する事を目的に,同事業が途上国の農業機械化に対してどの様なインパクトを与えてきたかを検証するため,同事業による研修員の帰国後の活動調査を実施した。複数年にわたる調査の結果,研修員は帰国後,農業機械研修で得た知識・技術の移転活動を行っていることが確認された。この技術移転の波及効果は経過時間・波及度合いにより4つのパターンに類型化され,一定の発現メカニズムを有することがわかった。また,この技術移転活動の過程において農業機械専門家間で知のネットワーク(FMK-net: Farm mechanization knowledge network)が形成されていることが明らかとなった。さらに,農業機械研修に協力を得ている中小の農業機械・施設メーカーへの聞き取り調査を行ない,農業機械研修を利活用した海外進出を試みた。結果,農業機械研修を通じた企業と FMK-net 連携が,将来的な海外ビジネスを模索する中小メーカーの海外進出に際して有効である事の一端が明らかとなった。また,途上国への新たな技術移転方策としても有用であることが判明した。
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