抄録
我が国で一般に用いられている園芸用パイプハウスを対象として,風荷重あるいは雪荷重を受けた際,崩壊に至るまでの過程を非線形有限要素解析によって明らかにし,パイプハウスのより合理的な耐風・耐雪設計法を確立するための基礎的知見を得た。風荷重に関しては,変形に伴う風圧分布の変化がその崩壊過程に大きく影響することが予想されるため,風速を徐々に増大させ,変形に応じた平均風圧係数分布を数値流体解析で求め,その結果を新たな荷重として用いるという繰り返し計算を行った。また,雪荷重に関しては,風によって積雪分布が不均一になることを考慮し,一様分布に加えて不均一分布の影響も考慮した。なお,解析はいずれも二次元モデルを対象としたものである。風荷重,雪荷重いずれに対しても,解析結果は強風や大雪によるパイプハウスの崩壊状態を概ね妥当に再現することができた。また,本解析結果との比較により,現在一般的に行われている設計法の妥当性並びに余裕度についても検討した。