抄録
本研究では,構造物に作用する風圧・風力の分布や大きさが構造物の形状に大きく依存するという性質を利用し,断面形状を従来の円弧型や切妻型ではなく,「翼型」とすることで抗力低減を図り,大スパンにも拘わらず耐風性に優れた鉄骨ハウスの開発を目的としている。まず,植松ら(2004)による既往の風洞実験結果との比較により,適切な数値流体計算モデルを明らかにした。次に,断面形状を規定する幾何学的パラメータを設定し,それらを広範囲に変化させ,各パラメータがハウスの風力特性(特に抗力係数)に及ぼす影響を数値流体計算によって明らかにした。さらに,その結果に基づき,内部での作業性や実用性も考慮し,抗力低減の観点から最適な断面形を提案した。なお,ここで想定した風向は妻面に平行な風向である。最後に,提案された断面形を有するモデル(スパン20 m,桁行長さ60 m)に対して数値流体計算と風洞実験を行い,断面形を翼型とすることによる抗力低減効果を検証した。